はじめに|緑茶にもいろんな種類がある!
緑茶というと「どれも似たような味」と思われがちですが、実は製法や栽培方法によって風味は大きく変わります。
この記事では、
- 玉露
- かぶせ茶
- 煎茶(深蒸し含む)
- 抹茶(碾茶)
- 玉緑茶
といった、身近ながら違いのわかりにくい茶葉について、それぞれの味・香り・見た目・育て方などを比較しながらわかりやすく解説していきます。
緑茶の基本構造をチェック☝️

こちらの図の通り、日本の緑茶は大きく「被覆(ひふく)あり」と「被覆なし」に分かれます。
- 被覆あり:玉露・かぶせ茶・碾茶(抹茶)
- 被覆なし:煎茶・玉緑茶 など
被覆とは、茶葉を育てる際に日光を遮るよう覆いをかけること。これにより、渋みのもととなるカテキンの生成を抑え、旨味成分であるテアニンを多く残すことができます。
玉露|旨味の頂点に立つ高級茶

特徴と味わい
玉露は、日本茶の中でも最高級とされるお茶。
- 被覆期間:約20日以上
- 色:透明感のある淡い黄緑
- 味:非常に甘く、渋みが少ない
※色や味わい被覆日数は産地、栽培方法により異なりますので参考レベル
茶葉は一芯二葉(一番新芽若い芽)で摘み取り、すぐに蒸して揉んで乾燥。極めて丁寧に仕上げられます。
もっと詳しく知りたい方へ
緑茶の品質【甘味、旨味、苦渋味、水色、色味】深掘り記事育て方と産地
玉露は日光を遮る「よしず」などを使って自然に被覆し、柔らかい新芽を育てます。これによりテアニンの分解が抑えられ、豊かな旨味が引き出されます。
代表的な産地は以下の3つ:

お茶の品種は数多くありますが、「さえみどり」の評価が高く玉露に求められる色、つやを出しやすい考えれています
抹茶(碾茶)|石臼で挽いてできる贅沢な粉茶

抹茶と碾茶の関係
抹茶は「碾茶(てんちゃ)」と呼ばれる茶葉を石臼で粉砕して作られたものです。
- 被覆期間:約25日以上(玉露より長い)
- 味:玉露よりやや軽めだが旨味が強い
- 製法:蒸したあと揉まずに乾燥→粉砕
碾茶は、蒸したあと茶葉を揉まずにそのまま散茶機を使い乾燥させ、石臼で粉末状にすることで抹茶となります。
飲用・料理(製菓)用の違い
項目 | 飲用の抹茶 | 製菓用などの抹茶 |
---|---|---|
茶葉 | 一番茶・被覆栽培 | 茶葉は選ばない(茎葉なども) |
製法 | 石臼でゆっくり粉砕 | 粉砕機で一気に処理する場合も |
味・色 | 鮮やかで旨味が強い | 色や香りが劣る場合も |
香り | 複雑で甘く、奥深い | 単純で浅め |
飲み物に した場合 | 旨味や甘味が強く、 口当たりがよい | 単体では味の奥深さが足りず。あくまでも製菓、加工用として |
近年は抹茶ブームにより、粉砕機による大量生産も増えています。
かぶせ茶|玉露と煎茶の“いいとこ取り”

かぶせ茶は、玉露と煎茶の中間に位置するお茶。
- 被覆期間:7〜10日ほど
- 味:玉露ほど濃厚ではないが、渋みは少なく甘味あり

玉露は高級茶葉の代名詞ですが、かぶせ茶は高級でありつつも、ちょっと手が出しやすい。でも煎茶より高いので特別感がある。といった感じです
ちなみに私はかぶせ茶が一番バランスがよく好きです。苦渋味と甘味がバランスよく感じられます。
製法の違い
玉露や碾茶は茶園全体を覆う「棚式」の被覆に対し、かぶせ茶は茶樹ごとに覆いをかける「直接被覆」方式が多くなります。
その後の製造工程は煎茶と同じく、蒸して揉んで乾燥させます。
飲み方のコツ
煎茶よりは低温、玉露よりは高温で淹れるのがポイント。
- 70℃前後で→旨味を引き出す
- 60℃前後で→玉露に近い味わいに
かぶせ茶は「ちょっといいお茶を飲みたい」時にぴったりの選択肢です。
煎茶|一番飲まれている“ふだんのお茶”

日本で最も一般的に飲まれているのが煎茶です。
- 被覆:基本的にはなし
- 味:さっぱり、爽やか、適度な渋味
- 色:明るい緑
深蒸し煎茶との違い
煎茶の中でも、蒸す時間が長い「深蒸し煎茶」があります。
分類 | 蒸し時間 | 特徴 |
普通煎茶 | 約15秒前後 | さっぱり、2〜3煎目まで楽しめる |
深蒸し煎茶 | 約30秒〜1分以上 | 味が濃い、渋味が少ない、色が濃い |
※蒸し時間は浸出時間ではないのでご注意ください。
飲み方と注意点
深蒸し煎茶は1煎目で旨味が出やすく、2煎目以降は味が薄まるため、こまめに茶葉を交換するのがおすすめです。
玉緑茶とは?特徴と煎茶との違い

玉緑茶(たまりょくちゃ)は、煎茶に似た製法でつくられますが、仕上げの工程で大きな違いがあります。
精揉(せいじゅう)を行わないのが特徴
通常、煎茶は茶葉を最後に細長く整える「精揉」という工程がありますが、玉緑茶ではこの工程を行いません。
そのため、葉の形が丸みを帯びた“ぐりぐり”とした独特の見た目に仕上がります。
この製法は、かつて中国の製法を模したものが起源とされており、「ぐり茶」とも呼ばれていました。
蒸し製と釜炒り製の2タイプがある
玉緑茶には、主に以下の2種類があります:
蒸し製玉緑茶
- 煎茶と同じく蒸して酸化を止めます
- 日本の主流製法
- 緑が鮮やかで、香りは比較的おとなしい
※苦渋味を抑えて甘味を出すイメージ
釜炒り玉緑茶
- 茶葉を釜で炒って酸化を止める
- 香ばしい「釜香(かまか)」が特徴
- 茶葉の色は黄みがかっており、水色も淡い黄色に
釜炒り製は九州地方(熊本・宮崎)を中心に伝統的に作られており、独特の香りとまろやかな味わいが魅力です。
番茶とほうじ茶の違いとは?

番茶は、煎茶や玉露の収穫が終わった後に摘まれる、比較的遅い時期の茶葉で作られます。
番茶の特徴
- 茶葉が大きく、厚みがある
- カテキン量が多く、渋味が強め
- 見た目はやや粗めで、味は素朴
また、番茶は茶葉の等級によって以下のように分けられます:
- 上級番茶
- 親子番茶(新芽と古葉の混合)
- 下級番茶
- 秋冬番茶

諸説には、番茶の原型は鎌倉時代まで遡るそうで、お茶を育てていた農民が、武家や公家に納める茶葉を摘んだ後、
いわばその「摘み残し」で飲んでいたようです。
(番茶美味しいのでさぞラッキーな残しものですよね◎)
ほうじ茶とは?
ほうじ茶は、番茶などの茶葉を高温で焙じる(炒る)ことで作られます。
- 香ばしい香りが特徴
- カフェインが少なめで飲みやすい
- 食後や夜におすすめ
※意外とカフェイン多いので寝る前は注意してください。
その他の緑茶|粉茶・茎茶・玄米茶
粉茶
- 煎茶の製造過程で出る細かい茶葉の粉を集めたもの
- 寿司屋や業務用でよく使われる
- 抹茶より粒が大きく、湯に溶けにくい
- お茶サーバーやティーバッグにも利用される
茎茶(くきちゃ)
- 茶葉から取り除かれた茎の部分を集めたもの
- 高品質なものは「かりがね」や「白折」と呼ばれる
- テアニンが多く含まれ、旨味が強い
- 茎茶を炒ると「棒茶(ぼうちゃ)」になる
玄米茶
- 番茶または煎茶に炒った玄米を加えたお茶
- 玄米の香ばしさと緑茶の風味が調和
- カフェイン控えめで食事にも合いやすい
- 茶葉より玄米の比率が高いことが多い

玄米茶は、気持ち的に体に良いイメージがあるので、麦茶の次にごくごく飲める定番茶として我が家でも愛飲しています
まとめ🍵
-1024x768.jpeg)
緑茶といっても、玉露・かぶせ茶・煎茶・玉緑茶・番茶など、製法や茶葉の部位、収穫時期によって実にさまざまな種類があります。
さらに同じ玉緑茶でも「蒸し製」か「釜炒り製」かによって風味が大きく異なるなど、知れば知るほど奥深い世界です。
それぞれのお茶には、その製法ならではの香りや味の個性があり、飲むシーンや好みによって選べる楽しみがあります。
💬 サイト主(にくえだ)
“お茶の個性”って、飲み比べてみないと気づけないことも多いです。

「そんなに違いあるの?」と思うかもしれませんが、茶葉の違いはもちろんのこと、温度や浸出時間、淹れ方の違いによって、香りや色、味全てが変わってきます。
その中でも「かぶせ茶にはこの温度!」
さらに沼ると「この”産地”のかぶせ茶にはこの温度!」
というような違った味わいや色を演出してくれて本当にお茶は楽しいです
ぜひ皆さんも一杯ずつゆっくり楽しんでみてください🍃
ではでは本日はこの辺りで。にくえだでした
【関連記事】
- 緑茶の品質【甘味、旨味、苦渋味、水色、色味】の違い
- やぶきた|日本茶の王様を南部鉄器で極める
- さえみどり|鮮やかな緑と甘みが魅力の品種
- 知覧茶|鹿児島の自然が育む豊かな味わい
- 宇治茶|極上の香りとまろやかさを南部鉄器で楽しむ
- さえあかり|バランスの取れた旨みと香りを楽しむ
\急須にもこだわるとお茶はより美味しくなる/
▶︎ 常滑ろくろ急須はこちら→(https://amzn.to/43wX4C0)
コメント